構造耐力 (法20条)
構造耐力(構造規定)でまず押さえておかなければならないことは、建築物の規模・構造種別などによって適用される基準が異なるということです。
その出発点が法20条です。
(出発点と書いたのはこれからさらに令36条・令81条など多岐にわたるからです。)
また、構造規定は法20条がすべてと言われます。これは適用される基準の出発点であると同時に、構造規定の概念が書かれているからです。
法20条1項の本文には、
建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造なものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。
と書かれています。
簡単に書くと
建築物は
①自重や外力に対して、安全なものとしてください。
②建築物の区分(規模・構造など)によってその基準が異なるので、規模・構造などにあわせた基準に適合するものとしてください。
ということになります。
よって、法20条1項各号はそれぞれ建築物の区分と定める基準という構成で規定されています。この構成で規定されていると認識しておくことがとても大切です。
そして、定める基準は技術的基準(一般的に仕様規定言われています)と構造計算基準に分けられます。建築物に必要な構造の基準が仕様規定と構造計算基準で構成されているということを認識しておくこともとても大切です。
この構成を意識すると法文が読みやすくなると思います。
(建築物の区分⇒仕様規定+構造計算基準)
第一号
高さが六十メートルを超える建築物 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。この場合において、その構造方法は、荷重及び外力によつて建築物の各部分に連続的に生ずる力及び変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算によつて安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。
波線部が建築物の区分です。そのあと、空白があり下線部が定める基準です。そして、定める基準の前段が技術的基準(仕様規定)への適合、後段が基準に従った構造計算をしなさいと規定されていることがわかります。
ここでちょっと深煎りします。
どの号に該当するかは、建築物の区分(規模・構造種別など)によってのみ振り分けられます。定める基準(設計方法)で分かれるものではありません。
(また仕様規定・構造計算基準については詳しく説明したいと思いますが…)
例えば、
高さ50mのRC造建築物で、法20条1項一号で定める基準(時刻歴応答解析)によって構造計算をしたからこの建築物は法20条1項一号に該当する。
これは間違いっています。
高さ50mの時点で、一号には該当しません。
一号の区分はあくまでも高さが60mを超える建築物です。
あくまで二号の区分に該当し、二号の「ロ」を“選択”して法20条1項の定める基準に基づいて時刻歴応答解析をしているだけということです。
あまり意味がなく、法律的な読み方の問題でもあり最初は理解しずらいかと思いますが、構造計算基準を理解するうえでとても重要だと思います。
とりあえず今回は構造規定で大切な法20条がどのように構成されているかを説明しました。これ以上書くととめどなく長くなってしまうので今回はここまでにしておきます。
仕様規定と構造計算基準についてはまた説明したいと思います。