深煎り 建築基準法

建築基準法について深煎りします。

ビューローベリタスの行政処分について思うこと

令和2年2月14日に9社の指定確認検査機関が確認検査業務で不適切行為があったとして国土交通省の処分を受けました。


http://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000823.html

http://www.mlit.go.jp/report/press/content/001328791.pdf


この9社の中でも、ビューローベリタスジャパン㈱が約40日間の新規の申請受付の停止処分を受けたということは個人的にかなりの衝撃でしたし、建築業界としても衝撃的だったのではないでしょうか。ビューローベリタスジャパン㈱が行ったのは建築基準法に適合しない計画に対して確認済証を交付したという不適切行為とのことです。


衝撃を受けた一方で、いつかはこのようなことが起こるのではということは予見されていたのではないでしょうか。


平成12年まではいち公務員である建築主事だけが行っていた建築確認・検査業務を、法改正により平成12年以降は国等から指定を受けた民間の確認検査機関(以下「指定機関」)でも行うことができるようになりました。今では、東京都内でいえば業務を行える指定機関は36機関にものぼり、建築主事に申請することはほとんどなく90%以上の建築確認・検査申請が指定機関にされている現状です。


http://www.jcba-net.jp/map.html


そうなると、それぞれの指定機関が客である設計者(建築主)を取り合うという構図になります。

そのため、いち指定機関(民間企業)として、他の指定機関よりいいサービスをして差別化を図らなければなりません。

このいいサービスというのがいい方向での差別化であればいいですが、現実はそうではなく、「審査期間の短縮のため、審査がおろそかになる」とか「厳しく審査すると、次回以降、他の指定機関に申請されてしまうのを恐れて審査自体が緩くなる」といった望ましくない方向での差別化になっているように思います。また、ただ単純に審査者や指定機関自体の審査能力にも問題があるのかもしれません。


さらに言うと、本来、建築確認・検査については設計者が資格ある立場として建築基準法の適合する計画であるとして申請されるのが大前提ですが、この大前提が崩れてしまっているのではとも感じます。


指定確認検査機関制度の問題、指定機関・設計者の能力不足や法令遵守の意識の低さが今回の行政処分の背景にあるのではないでしょうか。