構造耐力② (法第20条) ✳建築物の区分
以前の記事で法20条(1項)の構成について解説しました。
簡単にいうと…
建築物の規模・構造等による建築物の区分
→その建築物の区分に応じて仕様規定と構造計算基準を適用させる。
という構成になっているということでした。
今回は、その建築物の区分についてそれぞれ解説していきたいと思います。
まず、区分は4の区分に別れます。
それぞれ法20条1項一号・二号・三号・四号の4区分です。
一号は単純です。
高さが60m超の建築物です。
次に四号です。これも単純です。
一号・二号・三号に該当しない建築物です。
次に二号です。
最初に言っておきますが、複雑です。個人的に複雑になっている理由は建築物の区分を分けるのに構造計算によって判断するケースがでてくることだと思っています。
(前段に解説した法20条の構成を意識して法文を読んでいけばちょっとは理解しやすいと思います。)
まずは、法20条1項二号の建築物の区分が規定されている部分を見てみましょう。
二 高さが六十メートル以下の建築物のうち、第六条第一項第二号に掲げる建築物(高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるものに限る。)又は同項第三号に掲げる建築物(地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物、高さが二十メートルを超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物に限る。)
まずは前提条件が高さ60m以下です。
その次は「AまたはB」という大きな構成です。
Aが、
第六条第一項第二号に掲げる建築物(高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるものに限る。)
Bが、
同項第三号に掲げる建築物(地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物、高さが二十メートルを超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物に限る。)
よって
・高さ60m以下でAに該当する建築物
・高さ60m以下でBに該当する建築物
のどちらかで法20条1項二号に該当する建築物になるということです。
次にAとBに何が規定されているか見ていきましょう。
Aは比較的簡単です。
法6条1項二号建築物(木造で階数3以上または延べ面積500㎡超)で高さ13m超または軒高9m超
です。
例えば、
①木造3階建て延べ面積100㎡高さ14m、軒高8.5mの戸建て住宅
→Aに該当(前提条件の60m以下も満たしています。)
②木造平屋延べ面積150㎡の高さ4m、軒高3.5mの飲食店
→Aに非該当(前提条件の60m以下は満たしていますが…)
次にBの部分です。
Aの部分と構成は同じなんですがカッコ内が「a、bまたはc」という構成になっていて、さらにcは別の条文(36条の2)に飛びます。
法6条1項三号建築物(木造以外で階数2以上または延べ面積500㎡超)で
a:地階を除く階数3以上の鉄骨造
b:高さ20m超のRC造(またはSRC造)
c:令36条の2に該当する建築物
令36条の2を見ると
一号から五号のうちどれかに該当するとcに該当します。
一号:地階を除く階数4以上の 組積造 か 補強CB造 の建築物
二号:地階を除く階数3以下の鉄骨造で 高さ13m超 か 軒高9m超 の建築物
三号:RC造とSRC造の併用構造で 高さ20m超 の建築物
四号:木造・組積造・補強CB造・鉄骨造の2以上の併用構造 か 木造・組積造・補強CB造・鉄骨造のいずれか1以上 と RC造かSRC造の併用構造
でさらに
地階を除く階数が4以上(イ) か 高さ13m超か軒高9m超(ロ) の建築物
(少し複雑です…。)
五号:H19国交告示593号で指定する建築物(告示がとても複雑です…。)
となります。
✳告示593号についてはまた解説のことしたいと思います。(この中に構造計算の結果により法20条1項二号に該当するかどうかの判定をすることになり法20条の建築物の区分を理解するうえで肝になる部分だと思います。)
あとは三号ですが、
建築物の区分が規定されている部分を見てみましょう。
冒頭の部分(①)と最後のカッコ内(②)を見ると
①高さ60m以下の建築物⇒一号の建築物にならない
②前号(法20条1項二号)の建築物以外の建築物
と規定されていて、この①、②はこの区分の前提条件です。
それを前提に、さらに次のa~cのどれかに該当する建築物が三号の区分に該当する建築物ということになります。
a:法6条1項二号の建築物
b:法6条1項三号の建築物
c:石造・れんが造・CB造・無筋CB造・その他これらに類する構造のいずれか で 高さ13超か軒高さ9m超 の建築物
まとめると三号に区分に該当する建築物は、①と②を満たし、a~cのどれかに該当する ということになります。
ここで重要なところは、法20条1項一・二号以外の法6条1項二・三号に該当する建築物は法20条1項三号に該当するということになり、建築物の安全性を確認するための構造計算が必須ということになります。
これで、一~四号のすべての建築物がもれなく振り分けられたことになります。
(※告示593号はまた改めて解説します。)