深煎り 建築基準法

建築基準法について深煎りします。

建築主事と特定行政庁は何が違う?

建築主事を置く市町村(の長)を建築基準法では特定行政庁といいます。

また、都道府県はもれなく建築主事がおかれており、都道府県(知事)も特定行政庁です。

✳特定行政庁と建築主事の解説

 

f-kenkihou.hatenablog.com

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特に意識しなければ、「建築主事が行う事務特定行政庁が行う事務がそれぞれあるんだ。」で終わってしまいますが、よく考えるとちょっと違和感がありませんか?

 

・建築主事って置く必要があるの?

・建築主事を置くなら建築主事が建築基準法に関わる行政の事務を全部すればいいのでは?

 

まだまだ、私も勉強不足でこの建築主事と特定行政庁の関係性をすべて解説できる訳ではありませんが、

特定行政庁と建築主事では行う事務の性質が根本的に違う。

ということが大きく関わっています。

 そこで今回は、それぞれが行う事務の性質について、解説をしていきます。

 

まず、建築主事はどんな事務を行うかというと、建築基準法上、建築確認・中間検査・完了検査・仮使用認定(法7条の6第1項第二号)です。

これらに共通しているのは、羈束行為(キソクコウイ)と言われる行政行為だということです。

羈束行為とは、

行政庁の行為のうち、自由裁量の余地のない行為。法の規定が一義的であって、行政庁はそれをそのまま執行しなければならない行為。 ⇔ 裁量行為
です。(コトバンクより)
よって、白は白、黒は黒と判断することであり、本来は、誰が何度判断しても同じ判断でなければなりません。(そうはなっていないのが現実だと思いますが…)
 
一方、特定行政庁が行う事務は、原則、許可・認可・認定(一般的には許認可(キョニンカ))と言われる事務で、裁量行為と言われる行政行為です。(許可・認可・認定は行政手続き的に使い分けされています。)
例えば、法43条2項一号をみると
その敷地が幅員四メートル以上の道(…)に二メートル以上接する建築物のうち、…国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
とあります。
一部省略しましたが、最後の条文をみると特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものとあり、この部分が各特定行政庁がそれぞれの裁量で支障がないことを判断し、認めることになります。
どのようなことで交通上(安全上・防火上・衛生上)支障がないと判断するのかについてはは、建築基準法に基準が規定されていません。そのかわりに各特定行政庁で許可基準を設けていることがほとんどです。
ちなみに、横浜市では、横浜市公式HP中の下記のサイトで許可基準を公表しています。

建築基準法第43条第2項の規定による許可・認定 横浜市

 

例にあげた法43条2項一号の許可に関わらず、許認可に関する基準は、各特定行政庁が裁量の範囲で設けているものなので、ある特定行政庁の区域では許可された内容でも別の特定行政庁の区域では許可されないということがあるので、注意が必要です。(各特定行政庁の許可基準自体は同じような許可基準が設けられていることが多いのですが…)

 

今回は、建築主事と特定行政庁の事務の性質の違いについての解説でした。